まちとビジネス 〜地元発、成功のしくみ〜

第1回:イオンレイクタウンはなぜ成功したのか?巨大モールに隠されたビジネスモデル


はじめに

 越谷の顔ともいえる「イオンレイクタウン」。
 2008年のオープン以来、地域住民だけでなく遠方からの来訪者も絶えず、日本最大級のショッピングモールとして知られています。

 一体なぜ、イオンレイクタウンはこれほどまでに成功したのでしょうか?
 その裏には、単なる「大型商業施設」ではない、巧妙なビジネスモデルと地域戦略が隠されています。

 今回はこのレイクタウンの成功の仕組みを、ビジネスモデルの視点からひもといていきます。

※画像はイメージです。


1. 【基本戦略】「モール×エコ」=唯一無二のポジショニング

 イオンレイクタウンは「エコ・モール」という独自のブランドを掲げています。
 これは、商業施設に“環境配慮”という価値軸を加えることで、差別化を図った戦略です。

  • 建物には自然採光や太陽光発電を取り入れ、消費電力を抑制
  • 館内には“エコステーション”を設置し、ゴミの分別回収を促進
  • グリーンカーテンや植栽空間で、快適な環境づくりにも配慮

これにより、「買い物はしたいけど、環境にも優しくしたい」という新たなニーズを取り込みました。
実はこの取り組み、自治体との連携によって支えられているのもポイントです。


2. 【テナント戦略】3館体制による「ターゲット細分化」

 イオンレイクタウンは「kaze」「mori」「アウトレット」の3つの建物で構成されています。
 それぞれが異なるターゲットに対応し、多様なニーズを取り込む仕組みになっています。

主な特徴想定ターゲット
kazeファッション・シネマなどトレンド性高め若者・ファミリー層
mori日常使いできるスーパーや大型雑貨店地元住民・主婦層
アウトレットブランド商品がお得に手に入る遠方からの集客・観光客

このように、1つの商業施設の中で「購買動機」を分散管理することで、再訪率や滞在時間を最大化しています。


3. 【集客の仕組み】「買い物+体験」で“レジャー化”

ただのショッピングでは終わらないのがレイクタウンの魅力。
施設内では以下のような「体験型コンテンツ」が充実しています。

  • 屋内外イベント(展示会、ライブ、ワークショップ)
  • 水辺空間「大相模調節池」の散策
  • エンタメ施設(映画館、ゲームセンター、VR体験)

つまりレイクタウンは、「買い物する場所」から「一日遊べるレジャー施設」へと進化しているのです。
このように滞在時間が長くなるほど、購買機会が増える──まさに理想的な集客モデルです。


4. 【地域との共生】「地元発」の雇用と循環

レイクタウンのもうひとつの強みは、地域社会とのつながりです。

  • 地元の人材を優先的に雇用し、雇用機会を創出
  • 近隣小学校との環境学習イベントを定期開催
  • 越谷市や自治体と協働した災害時支援ネットワークの構築

単なる「外からやってきた大型商業施設」ではなく、地元に根付いた“生活インフラ”としての役割を果たしているのが、長期的な支持を得ている理由のひとつです。


おわりに:地方都市でも再現できるのか?

 イオンレイクタウンのビジネスモデルは、ただ巨大だから成功しているわけではありません。
 環境、ターゲティング、体験価値、地域貢献という複数の軸をバランスよく取り入れた点が、他と一線を画しています。

 もちろん、同じ規模の施設を他の地域にそのまま再現するのは難しいかもしれません。
 しかし「環境配慮」「ターゲットごとの施設設計」「体験価値の創出」「地元との共創」といった要素は、規模に応じて応用できる考え方です。


編集後記

 イオンレイクタウンは「ただ大きいだけじゃない」ということを、改めて実感しました。
 私自身、つい買い物の便利さばかりに目が行きがちですが、裏にある戦略や地域との関係性を知ると、見え方が変わってきますね。

「レイクタウン・デイズ」を訪れていただき、ありがとうございます。
 これからも皆さんにとって有益な情報を提供していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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